ソーコ夜話⑥ 『倉庫ひとりぼっち』

September 19, 2017

倉庫
倉庫というと荷物が整然と積まれた風景を思い浮かべるかもしれない。どこを向いても目に映るのは荷物ばかり。そしてその荷物の間を縫うように走るフォークリフト。だが、それは荷物を預かっている倉庫の話。WAREHOUSE Konan 4F では、何もない倉庫空間がどんな風なのか、じかに感じることができる。

頑丈そうな四角い柱が並んだ大空間はがらんとして、いかにも採光用といった趣の窓から差し込む光が床を照らす。防塵塗装が施された床は少し波打って、水面のように見える。他のフロアで荷物を出し入れしている物音と、建物わきの線路を新幹線が通り過ぎる音が時おりする以外、ほとんど音も聞こえない。ふと、凪いだ海では音が聞こえにくくなるという、昔読んだ船乗りの話を思い出す。

ひとりぼっちになりたい時、これ以上適した場所はないかもしれない。本来、大事なものを保管する場所。何も置かれていない、大空間にひとり。倉庫の使い方としては正しくない。しかしこんな経験、なかなかできるものではない。

倉庫内を漂流しながら孤独に浸れるのも今のうち。実はここ、近いうちに荷物で埋まってしまうのだ。倉庫としては、それがあるべき姿なのだが。
 

久保純一(ロジスティクス・トレンド)

 

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