ソーコ夜話㉑『トイレまでの幸福な徒歩１分』

不動産の広告などでよく目にする徒歩○○分。最寄駅などからのおおよその距離をあらわす表記だが、これ、実は基準があって１分あたり80ｍとされている。

 

写真は 田町 CONTAINER にあるドア。共用部とテナント占有部を隔てるドアだが、そこにはトイレまで歩いて１分と書かれている。本当に歩いて１分なのか前から気になっていたので、時間を計りながら歩いてみた。

 

結果からいうと、ドアを開けてからトイレまで筆者の足で46秒だった。

 

しかしこの約80ｍが、なかなか充実している。ドアを開けると、そこには築40年超の倉庫ビルをリノベーションした空間が拡がっているのである。廊下に面して並ぶオフィスは、ガラス張りで開放感がある。いずれも小さなオフィスだが、その価値が規模にないことは内部の活気を見れば一目瞭然だろう。ここは入居企業が自由にリノベーションできるという賃貸オフィスで、自分たちで作り上げたオフィスはそのままモチベーションにも直結しているようだ。入居企業同士のコミュニケーションも活発で、リノベーションする前は空室に悩まされたという話が嘘のようである。

 

トイレまで60秒。それは、築年数が経過した建物がリノベーションで生まれ変わり、生き生きと動いていることを実感できる幸福な60秒でもあるのだ。

 

 

久保純一（ロジスティクス・トレンド）