ソーコ夜話⑳『ワンダバ』
December 17, 2018
ウルトラシリーズなど一昔前の特撮ものでは、出動の際「ワンダバダバダ」というスキャットによる音楽が流れたものである。男性ボーカルグループが歌う軽快なリズムに乗せた出動シーンが、実に格好いいのである。
倉庫の格好よさと地球防衛軍的組織の基地の格好よさに相通ずるものがあるのはご存じのとおりだが、それは双方ともに「箱っぽさ」があるからではないかと思う。いずれも単なる箱ではない。その外観は機能が求める必然性のあるもので、その機能的な建物の中には高性能なメカが収められているのだ。基地のなかでは搭乗員を乗せたメカがクレーンで吊るされ、カタパルトに乗せられる。やがて幾何学的な合わせ目の扉が開き、伸びた射出路から発進するその格好よさ。これが「ワンダバ」である。
写真に写るのは、田町 WAREHOUSE Kaigan ヤード。ここは倉庫のヤードだが、倉庫だって同様だ。クレーンで吊るされるのは荷物だし、扉はシャッター、そこから発進するのはトラックだけれども。ヤードは倉庫という基地からメカが発進する、その場所なのだ。
シャッターが開き、バックで着けたトラックの後扉にフォークリフトが荷物を運び入れる。積み込みが終わるとドライバーが前後左右の安全を確認し、トラックを発進させる。そんな光景を目にし、自然と口をついてでるのはもちろんワンダバだ。
倉庫で働く方々には、どうか胸を張っていただきたい。自分はこんなに恰好いいところで働いているのだ、と。
久保純一(ロジスティクス・トレンド)