ソーコ夜話⑲『万里の波頭を乗り越えて』
November 27, 2018
写真は、海上輸送用コンテナの側面。現在は倉庫ビルのエントランスに設置され、建物の入り口として機能しているものだ。倉庫ビルという建物の性格をあらわすシンボリックなモニュメントでもあり、ミュージックビデオなどの撮影にも使われるスタジオ(品川 WAREHOUSE Konan ENTRANCE)でもある。
物流会社のカラーから白へと塗り替えられ、直線基調の安定感ある姿と相まって「静」のイメージを醸しているが、しかし海上輸送用コンテナといえば、物流のなかでも「動」の代表格。かつてはこのコンテナも貨物船に載せられ、七つの海を渡ってきたのだ。
写真に残るへこみは、どこの港で付いたのだろう。白いペンキの上からでもわかるすり傷は、誰が付けたのだろう。ところどころに残る傷もへこみも、すべてがこのコンテナが辿って来た旅の痕跡。そのひとつひとつが、このコンテナが役割を果たしてきた証しなのだ。
長年海風に吹かれてきたからか、ところどころに錆びの跡も残るこのコンテナ。傷やへこみを見つけるたびに、かえって愛おしいような気になる。
久保純一(ロジスティクス・トレンド)