ソーコ夜話⑱『白銀は呼ぶ』

白くゆるやかな傾斜の向こうに拡がるビル街。心なしか、空が近い。雪が積もったスキー場と言えば、そう見えないこともない、かもしれない。

この傾斜、もちろんスキー場ではないし、季節は冬でもない。場所は芝浦の WAREHOUSE Shibaura。傾斜は、9階建ての倉庫ビルの屋根である。白い塗装は、耐熱効果を狙ったものだろう。倉庫の中を見る機会は、少しづつだが増えている。しかしその屋根を、こんな近くから見ることができる機会はなかなかない。

良く見るとこの屋根、波状になった金属板をボルトで留めてある。波状になっているのは折り曲げて強度を増しているためで、この形状はその名の通り「折板（せっぱん）屋根」と呼ぶ。簡単なつくりに見えるかも知れないが、軽量さと耐久性を兼ね備えた優れもので、折板屋根と言えば、倉庫や工場の屋根の代名詞といってもいいほど一般的なものだ。

雪原ならばスキー場へ行けば見られる。しかし、倉庫の折板屋根をこんな間近に見たことがある人が、どれだけいるだろうか。

それが、見られるのである。田町 PARKING に行けば。

倉庫の屋根なんて見たくないという人は、ひとまず置いて行こう。

久保純一（ロジスティクス・トレンド）