ソーコ夜話⑤ 「段差」
July 21, 2017
今回の写真は、すこしわかりづらいかもしれない。写真中央で画面を分割しているのは窓のサッシで、向かって右が屋内、左が屋外だ。よく見ると屋内の床は屋外よりも低い位置にあり、まるで半地下のようだ。場所は、 品川 Re-SOHKO GALLERY。
屋外の床面は一見テラスのようだが、その正体はトラックバース。ここに直接トラックを乗り付けて荷物の積み下ろしを行うために、プラットホームのような形状になっている。荷台の高さに合わせてあるので、地面よりもかなり高い。一方の屋内の床は、地面より少し高いくらい。普通の建物の1階くらいの高さだ。
一般的にはトラックバースとそれに続く屋内(倉庫部分)の床面はフラットなのだが、ここは写真のとおり大きな段差がある。荷物を出し入れするには骨が折れそうだ。なぜこの部屋だけ低いのか。謎は残るが、解決の糸口になりそうなものは何も残されていない。だからといって無用の長物と呼ぶのはなんだか気が引ける。
ここに段差があるのは、何らかの理由があったはずである。それが伝わっていないというのはなぜなのだろう。あるいは当たり前すぎて、わざわざ伝える必要がなかったとか。物流業界の人はよく「業界の常識は世間の非常識」と言ったりする。限られた範囲内での当たり前は、その範囲をでると通用しない。この段差の意味がわからない筆者は、この段差が物流のプロとの大きなへだたりに感じてしまうのだ。
なんだかこの段差がその隔たりを象徴しているような気がして、ちょっとくやしい。
そう思い、この建物を管理している人に聞いてみたのだが、やっぱり知らないという。
こうして、なぞの段差は今日もなぞのままである。
久保純一(ロジスティクス・トレンド)