ソーコ夜話②『パレットになにを載せる?』
April 17, 2017
写っているのはパレット。正確には木製パレットを活用した家具。
パレットとは木や樹脂(強化プラスチックなど)でできた台で、物流の現場ではここに荷物を載せて保管したり、そのまま運んだりする。ここに載せておけば積み替える必要がなく、しかもサイズが均一なので空間を効率的に活用できるという便利なアイテムだ。
この家具たちが置かれている田町 CONTAINER は、倉庫ビルに付随するオフィスをリノベーションした空間。クロス張りの壁にパネル天井、タイルカーペットの床といった一般的なオフィス仕様の内装から、“倉庫っぽさ”を表現した内装に替えてある。倉庫をオフィスや店舗に、という流れは多いが、ここは逆パターン。倉庫街というストーリーを軸に、倉庫や物流の格好よさを発信することも目的としている。
リノベーションは「倉庫の再現」よりも「倉庫の格好よさ」の具体化に比重が置かれた。倉庫っぽさを演出するアイテムとして、木製パレットはまさにうってつけ。一見無骨だが、ちょっと冷たいイメージのモルタル床に置くことで不思議と暖かみを感じさせる。荷物を載せて人の手から人の手へと運ばれていくパレットには、独特の雰囲気がある。
荷物を載せて運ぶ役割を終えた、中古パレットを組み合わせて製作されたこの家具。パレットに載る荷物に様々な思いが込められているように、今では交わされる会話に込められた想いを載せている。荷物ではなく、人の想いを載せる。そんなパレットなのだ。
久保純一(ロジスティクス・トレンド)