ソーコ夜話㉘『倉庫と、運河と、マンションと』
June 8, 2020
写真は 五色橋ビル 1階のエントランス。
倉庫機能を併設したこのビルの窓からは、岸壁と運河と、向こう岸の高層マンションが望める。一見、静かな景色だが、しばらく張り付いていると、やがて手前の岸壁をトラックが通り、フォークリフトが行き交うさまを目にできるだろう。運河の上をボートやはしけが滑り、マンションの遊歩道を住人たちが散歩する。そしてふたたび、トラックが目の前を通り過ぎていく。
倉庫というと、静のイメージがあるかもしれない。だが実際には荷物の搬入や搬出、入れ替えなどが絶えずある。倉庫は、動き続けているのだ。
この大きな窓。実はエントランスのリニューアル時に設けられたもの。湾岸の倉庫街は長い年月をかけて高層マンション群に姿を変えてきたが、その足下ではまだたくさんのトラックが走り回っている。この窓はエントランスの開放感とともに、その様を見ることができる絶好の場所を提供している。
彼岸にはマンション、運河を挟んでこちらは倉庫街。街のなりたちと今が望めるこのビルは、そんな場所にある。
久保純一(ロジスティクス・トレンド)